Wanting the shining star.



真っ黒お空に小さな点々
綺麗な綺麗なお星様
散りばめられた宝石達
あれが欲しいと泣く子供
それは無理よと戸惑う両親
あら大変と気の毒そうに走って逃げる流れ星
誰もが求めるShining star.
Wanting the shining star!


Wanting the shining star.


 ダイヤ、サファイヤ、エメラルド。
トパーズ、パールにオパール添えて。
アレキサンドライトも如何でしょう?

 何故か最近ルパンが宝石ばかりを狙っている事に気がついた次元は何の為だろうと不思議に思った。
彼が獲物を決めるのは何時だって一応の理由がある。
それは往々にしてとんでもなくくだらなかったり邪心があったりスケベ心があったりするのだが。
分からなければ分からないで気持ちの悪いものがあった。
人はどんな事にも動機がなければ心穏やかであれないらしく、次元はもやもやとした蟠りを心に 抱えてしまったようだ。
そしてよせばいいものを山分けされた収穫品の流れた先を情報屋から容易い事ではなかったものの 手に入れた。
自分と五右ェ門、不二子の事はいいとして、問題は仕事の発案者であるルパン3世。
一体何を企んでいるのだろうと詳細を記した小さな紙切れをぺらりと開いてみせた。
紙の受け渡し場所として指定したバーは薄暗く物を読むのにはあまり適していなかったが何とか 見えない事もない。
余計な事は一切付け足さずに箇条書きにされた素っ気無い文章がずらずら列をなしている。
その仕事をこなしたのは報酬金に比例して仕事の確実さを買っているヒスイのような瞳が特徴的な 精悍な男であり、次元は腕のよさと共に気に入っていた。
ただもう少し感情豊かであればいいのではと思うくらいに無感情な男ではあるのだが。
あの男も何か理由があってこんな仕事をしているのだろうかと考えながら軍隊のように整列した 文字を上から順に追って行く。
…ピシリと、亀裂の入る派手な音が何処からともなく物静かな店内に響いた。

 「…あんの馬鹿野朗…。」

 そこに並んでいたのはわらわらと何処からこんなにも集まったのか見当もつかないと いうくらいの女の名前。
あの男は…ルパン3世の目的は、どうやら『女』であったようだ。
この瞬間、次元がもう奴とは手を組むまいと心に決めたのは言うまでもなかった。
 本来なら、自分の物をどう使おうと横から口を挟むような下世話さなんて次元は持ち合わせて いない。
けれど何故だろう、ルパンが自身のためではなく誰かの為に命をかけて働くというのにはどうしても 合点がいかなかった。
次元らのやっている仕事は甘いものではないのだ。
何時誰に背後を狙われるか分かったものではないのだ、少なくとも不特定多数の為に犯すべき事では ないだろう。
馬鹿野朗がと次元はもう一度口にする。
残りの酒を一気にあおった。
そしてそれから数日後。
 「次っ元ちゃ〜〜〜ん、次のお仕事しようぜぇ?」

 「断る。」

 その返事に驚いたルパンが半ば憤慨状態の次元を口説き続ける事数時間。
これで本当に最後だからというルパンの言葉を本当に信じた訳ではないが、次元は渋々ながらも 応と答えた。
『お前じゃないと駄目なんだ』というセリフにやられたのかもしれないとは、絶対に考えたくはない 次元であった。
仕事の予定は一週間後。
やはり今回も狙いは宝石店であった。
 「いい加減殺すぞお前は…!こんっな大変な事になるのなら五右ェ門にも連絡入れておけ!!!」

 ガァッと激情に任せて怒りを露に怒鳴るのも最もだというくらいに今回の仕事は荷が重かった。
命からがらという感じで何とか逃げ切った二人はどちらもゼィゼィと肩を揺らしながら忙しなく呼吸を 繰り返す。
ごめ〜んと返された能天気なルパンの言葉に、次元は掴みかかってやろうかと思った。
が、ルパンは想像もしなかったような清々しい顔をして謝りながらも達成感に満ちた勝者の笑みを 浮かべていた。

 「ずっと探していたんだよ、これを。」

 苦労したなぁと愚痴ってはいるものの、その言葉とは裏腹にむしろその難解が楽しかったと暗に示す 彼の笑い声が夜空に響く。
訳が分からず次元は高らかに笑い続けるルパンを睨みつけるように見つめた。
それに気づいたルパンが、少しづつ声のトーンを落としハンドルに手をついて話し出した。

 「これは…母のもんだ。」

 「!」

 驚きで次元の瞳が見開かれる。
先程所有者が交代したばかりの、シンプルなデザインではあるが大きな石を称えているリングがキラリ と輝いた。

 もうずっとずっと前に紛失してしまっていた母の形見。
目ぼしい宝石店は何年も前から探し回り、盗み回り。
手元には欲しくもない石ばかりが徒にその数を増やしていった。
もうこれ以上手を尽くしても無駄なのかもしれないと半ば諦めかけていた矢先、今までになく信頼性の 高い情報が幸運な事にも舞い込んできた。
今日まで外れを引き続けてきたのだが、もしかしたら、もしかしたら今度こそ本物かもしれないという 淡い期待が彼の、ルパンの心にほのかな明かりを灯した。
山のように積まれた外れクジであった偽者の石達を最初どうしたものかと随分と悩みもしたが今は女 達に配るようになっていた。
どんなに高価であろうとも、どんなに美しかろうとも、ルパンにとってそれらは無価値どころか邪魔で しかなかったのだ。

 懐かしそうにそれをしばらく見つめるとルパンはくるりと次元のほうへ向きを変えた。
そして戸惑った表情を浮かべたままの次元の手をひょいと取り上げ、ぽんとリングを放り渡した。

 「やるよ、次元ちゃん。」

 「…………ッは!!?」

 有無を言わさず大きなダイヤのはまった母の形見だというリングを次元に手に残すとルパンは ハンドルを握りなおし一気にアクセルを踏んだ。
貰える訳がねぇと叫ぶ次元を相変わらずの能天気な笑いでいなして車は何処までも続く道路を尋常では ないスピードで走り抜ける。
エンジンの爆音に紛れて、『それは大切な奴にやる事に決めてたんだ』とルパンは言った。

 「……ッ…。」

 必死にリングを突き返そうとしていた次元の手が思わず止まり、一気に朱色が顔に走った。
女の為に命の危険を犯してまでも仕事をしていたのではと思っていた次元に反省だか羞恥だかよく 分からない衝動が突き上げる。
黒い夜空には彼らを見下ろす小さな星々。
どうにも照れ臭くなって次元は乱暴に疾走する車内からついつい視線を外へと泳がせる。
その眼に映ったのは―――その、宝石にも似たお星様。

 「どうせなら…あれが欲しいがなぁ。」

 「ん?ならあれも盗ってきてやろうか?」

 てっきり運転に集中しているとばかり思っていたルパンが次元の呟きに反応しとんでもない事を 口にした。
本気で冗談では済まないような気がして次元は嘘に決まっているだろうと絶叫したのだった。
 真っ黒お空に小さな点々
綺麗な綺麗なお星様
散りばめられた宝石達
あれが欲しいと泣く子供
それは無理よと戸惑う両親
あら大変と気の毒そうに走って逃げる流れ星
誰もが求めるShining star.
Wanting the shining star!




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「インスタント・コンセンサス」様に初めてお邪魔したとき、1133hitを踏んでしまって、なんだか微妙な番号だな〜と思いつつ申告させて頂きましたら、
こんな素敵な小説を頂いてしまいました〜〜!!!!
これは、その時のTopイラストのお話なんです。ルパンが「やるよ、次元ちゃん」て次元ちゃんに指輪(指輪ですよ指輪!!(爆)をぽんと放り渡すシーンの絵だったのですが、あたふたしてる次元ちゃんが可愛くて・・・(〃▽〃)ああ〜、手が震えてるよ(見たんかい!(爆)みたいな妄想がですね・・・ふふふ。(恐)
紫樹さんの次元ちゃんて可愛いんですよね〜。なんかこう大の男なのに「いぢめてくん」色が強いというか(そういう可愛なのか(爆)
渡さんの文章も、シチュエーションがほんとになにげない普段の彼等の日常なのに、見事に小説になってるんですよね。しかも絶対こんな会話してるよね!みたいな文なんですよ。(原作の二人もアニメに負けないほど甘々だし)日常書くのって、アクション書くのより難しいと思うのですが。
ねえ、おふたりとも彼等のアジト知ってるんじゃないんですか?(爆)

とにかく、今回の萌シーンは先程の「やるよ、次元ちゃん」はもちろんですが
最後の「ん?ならあれも盗ってきてやろうか?」ですよね!!!次元ちゃんも何メルヘンチックな発言してんの!!(爆)もう、勝手にやってろ!!って感じです。

紫樹さん、渡さん、ほんとにありがとうございました〜(^−^〃)これからもよろしくお願いします♪♪

紫樹さん・光原 渡さんのHP「インスタント・コンセンサス」は こちら です♪




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